Category: 鳴向

暁月に吠ゆ 後篇

※これはRepro5号『ロスト・アイ』に掲載した作品と同じ内容になります。 「暁月に吠ゆ」前篇 鳴向     5   だから、逆らえない。逆らわない。 あの日見た、暗闇のレールの先を思い出せ…



暁月に吠ゆ 前篇

※これはRepro5号『ロスト・アイ』に掲載した作品と同じ内容になります。 「暁月に吠ゆ」前篇 鳴向   1   「――待て、反乱分子(レジスタンス)!」 人気のない商店街で、警察によく似た制服を纏っ…



指先は空を掻く 後篇

「指先は空を掻く」   後篇 鳴向   4.   日が落ち、辺りが闇に包まれる時間。差し込む月明りは弱く、全てのものの輪郭が曖昧になる。 「お大事に」 絵夢の声に見送られ、最後の患者が診療所を後にする…



雨傘 後篇

「雨傘」  後篇   鳴向   私は、学校から帰るのとは逆の道を歩いていた。どんどん町から離れていく。下草の生い茂る道の先に続くのは、学校の裏手にある、崖。この雨の降り続く町の果てであるそこを目指して、私は黙々…



指先は空を掻く 前篇

「指先は空を掻く」   前篇 鳴向   1.   何も見えない。 何も分からない。 上も下もなく、ただ波間を揺蕩うようなふわふわとした感覚だけがあった。 遠くから声が聞こえる。悲しそうな、若い男の人の…



雨傘 前篇

「雨傘」  前篇   鳴向   ざあざあと音がする。 絶え間なく続く、巡り巡る水音。空から降るそれは川を作り海に注ぎ、やがて空に還りまた降る。 循環する水。それに囲われた、小さな私の世界。   仄かに…