ロスト・アイ世界観

※これはRepro5号『ロスト・アイ』に掲載した「イントロダクション」と同じ内容になります。

 

以下は、能力者管理組織“LASIK”のとある職員による、一般人には知られざるこの世界の実情についての報告書である。

能力者に関する情報は部外秘となるため、取扱いには厳重注意のこと。

 

『LASIKと能力者の現状についての報告』

2015.09.xx

xxx xxx

能力者

 この世界には、特殊な“眼”を持つ人間が存在する。

 その眼には常識を超えた特殊な能力が宿り、眼の持ち主はその能力を自分の物として自在に操ることができる。

 我々はそういった人間のことを慣習的に“能力者”と呼称しており、この報告においても以下、そのように表記する。

 能力者の存在は、その能力が特殊であるが故に、一般人(非能力者)に対してはほぼ完全に秘匿されている。

能力

 能力は成長過程の途中で発現し、発現する年齢はまちまちである。

 眼によって発現する能力には個人差があり、内容は多岐に渡っている。

 能力の発動時には眼(虹彩)の色が変化し、その色によっておおまかな能力の種類が判定できるとされている。色と能力の関係については以下の通り。

  赤……物理的な力。(発火能力、念動力等)

  青……精神感応的な力。(読心能力、催眠術等)

  緑……その他。

 ただし、この分類には例外も多く見られるため、引き続き調査が進められている。

 また、能力発動に関しては、任意で発動するタイプの能力者だけでなく、能力が常時発動するタイプの能力者も存在する。後者は瞳の色が常に変化して見えるため、カラーコンタクト等で瞳の色を隠して生活している者も多い。

ランク

 LASIKでは、後述する“大阪城”の指示により、これら能力者をその脅威に応じてランク付けしている。分類は以下の通り。

  Sランク……危険な能力

  Aランク……外部への影響が強く、危険度が高い能力

  Bランク……外部への影響はあるが、危険度は低い能力

  Cランク……外部への影響が弱い能力

  Dランク……外部に影響を及ぼさない能力

 Sランク能力者の報告例はほとんどない。

 Aランク以上の能力者はLASIKにより拘束、強制連行の後、施設に隔離される。

 稀に能力の質が変化し、それに伴ってランクが変動するケースも存在する。

 

デメリット

 眼の能力は常識を覆す可能性をもつ強力なものである一方、使用した際には何らかのデメリットがあるということが言われている。

 デメリットに関しては非常に個人差が大きく、能力との相関を測ることは不可能である。また、このデメリットのために生活が困難な状態に陥る者もある。

 

 能力の源。

 眼を失った能力者は能力を失う。

 報告は稀だが、過去に眼の移植により他人の能力が使用できるようになった例がある。

 能力者から離れた眼球が、単体の生物のように動いたという記録も存在するなど、未だ謎が多い。

 眼の能力は遺伝する可能性が高い。

 歴史上の偉人達も能力者であったと言われており、その子孫に能力者の割合が高いということは、統計上、有意な差として示されている。その場合、子孫には、先祖にあたる能力者と同じ性質の能力が発現する。ただし能力の強さや発現する側面が異なる例があり、全く同じ能力であるとは限らない。

 

LASIK

 能力者を管理する為に作られた組織である。大阪城にある“眼”の力で全国から能力者の所在を探し出し、大阪で保護することをその主な職務としている。

 その目的は、一般人の社会の秩序維持である。

 現在のLASIKは、通天閣にある本部と、大阪城の“能力者保護センター”により成り立っている。

 大阪城の“眼”は、能力者の能力が発現した瞬間にそれを察知し、居場所を探知する。そして職員がそこに出向き、基本的には交渉、説得によって、それに応じない一部の能力者に対しては強硬手段によって、能力者を大阪に集めている。

 ただし、大阪城の“眼”の存在は機密事項に当たるので、一部の人間しか知ることは出来ない。

 保護した能力者は、大阪の中で生活することを義務付け、能力を悪用することのないようLASIKの監視下に置く。

 ランクの高い能力者に対しては強硬手段をとるが、特に問題を起こさなければ、個人の生活に関してLASIKが大きく介入することはない。一方、能力を悪用して問題を起こす、あるいはその兆候が見られた場合にはLASIK内の能力者が実力行使に及ぶこともある。

 現在“LASIK”は警察と協力関係にあり、警察上層部は能力者の存在について関知している。

 また、LASIKは能力者、非能力者の両方によって構成されており、構成員である非能力者は例外的に能力の存在について知らされる。その多くは警察関係者である。

 

LASIKの来歴

 LASIKの母体は、強力な能力者であった豊臣秀吉が大阪城を拠点に築いていた能力者集団である。

 秀吉は能力者の存在を見抜く眼を持っており、その眼によって有能な家臣を登用していたとされる。

 秀吉亡き後、徳川の治世になってからも集団は存続し、秘密裏に仲間を集めていた。

 その存在が国やその他の機関に明らかになるのは、戦後、GHQによる政策が進められている中でのことだった。マッカーサーはこの能力者組織による反乱を危惧し、GHQの管理下におくことを決定。同時に、全国に散らばっていた能力者達を大阪に集め、極秘裏に管理する計画を立てた。

 その際に発足したのが現在の“LASIK”の前身となる“管理局”である。

 当局は、前述した能力組織が拠点としていた大阪城に本部を設置した。大阪城には豊臣秀吉のものとされる“眼”が保管されており、その力で全国各地に散らばる能力者の居場所を特定することが出来たことが理由であるとされている。

 その後、管理局は昭和三一年に再建された通天閣の最上階に本部を移し、組織の名を“LASIK”へと改め、現在に至る。

 なお、秀吉のものとされる“眼”だけは大阪城に残され、厳重な警戒下で極秘に管理されている。

 このように“LASIK”の基盤は強固なものとなっているが、現在の懸念事項は、次項に挙げる反体制組織の存在である。

反体制組織(レジスタンス)

 「虹【彩】の黎明(ザ・デイブレイク・オブ・アイリス)」を名乗る、我々“LASIK”に抵抗する組織。

 能力者で構成されていることを除いて、組織体系、規模、拠点等の詳細は不明。能力者を“LASIK”の管理下から解放することを目的としているようである。

 LASIKの職務を妨害する軽犯罪等を裏で手引きしていると言われているが、確証は掴めていない。

 現在のところ表立った大規模な事件は起こしていないため、要経過観察ではあるが、今後の動きによっては強硬手段に移ることが必要になる可能性が高い。

———————–

 以上が、能力と我々を取り巻く現状のまとめである。

今のところ、我々“LASIK”の活動は大阪の、延いては日本の平和維持に一定の役目を果たしていると言える。

しかし、前述したレジスタンスのような存在を鑑みるに、今後も現体制を維持するためには、何らかの対策を講じる必要があると愚考する。

 

未来のことは誰にも分からない。

だが私は、一般人と能力者の隔たりなく、この大阪がより良いものになることを願ってやまない。

この報告書も、これからの大阪に役立つものになればと思っている。

以上

戻る